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第2回「愛知県隊員OB会は地球温暖化に立ち向かいます 〜二本松遠征編〜」

ぺーぺーの私なんかが執筆させていただくのは非常に恐縮なんですが、これも何かの巡り合わせと思い、書かせていただきます。愛と感動の二本松遠征レポート(あくまで下保木主観)。レポートってか日記です。すいません。

行ってきました。青年海外協力隊、二本松訓練所。環境キャンペーンのシリーズ企画第二段。友成さん、池田OBと私の三名で水戸黄門さながらの珍道中。ただ、立ち向かう相手は悪代官ではなく地球温暖化。やります。愛知県OB会はガチンコでやります。名古屋駅 → 東京駅 → 郡山駅 → 二本松駅 → 二本松訓練所の全行程をイベントごとに回想レポート。

2月5日 午前9:21 名古屋駅→東京駅
友成さんと名古屋駅の上り新幹線のホームで待ち合わせ。「ホームで待ち合わせましょう」と昨夜の電話で言われたのでのぞみの自由席、2号車の乗り口前で待つ。そこへ颯爽と友成さん登場。今日もスリーピースのスーツがバッチリ決まっている。そして一言

友:「あれ?オレ、指定席取っちゃった」

そーゆうことは先に言ってくださいよ・・。でも折角だから一緒に行きましょうか、ということになり自由席で友成さんとご一緒させていただくことになった。友成さんは分厚いシステム手帳と二つの携帯電話を使い移動中も仕事に、調整に余念がない。デキル男ってかっこいいな〜と憧れる私。三角ベース野球の普及活動、新JICA中部の構想、環境キャンペーンと色々お話しを聞かせていただきました。

同日 午前11:30 ミーティング
東京駅、八重洲口で池田OBと合流(池田OBは岡崎駅から別便で東京入り)。これで今回の遠征の役者が揃った。と、思ったら池田OBの三歩後ろに小柄で美しい女性がいらっしゃることに気がついた。

池:「こちらがFoE JapanのYさん」

なぜかちょっと誇らしげに彼女を紹介する池田OB。え??この方が??正直、面食らいましたよ、私。東京で人に会うことは知っていた。中年男性が現れるものだと勝手に想像していた。目の前に現れた方と、想像上の架空の中年男性のギャップたるや・・・。FoE Japanは知る人ぞ知る、国内有数の国際環境NGO。そこで活躍中のYさん、聡明で頭の回転の速いグレイトな人でした。しかも隊員OB。友成さんとポリティカルな話をしつつ、池田さんと温暖化の話をする。JICAの立場、NGOの立場、日本の立場。私なんかが口を挟める要素はどこにもなく、ただただ相槌を打ち、時折コーヒーをすする。勉強不足と経験不足を痛感した。

同日 午後0:36 東京駅→郡山駅
Y氏と東京駅でお別れして我々3人は東北新幹線に乗り、郡山へ向かった。三人とも好き勝手に先ほどお会いしたY氏のことを賞賛していた(笑)。車内で軽くこの後のスケジュールやプレゼンの手順などを打ち合わせ。

同日 午後2:09 郡山駅→二本松駅
郡山から東北本線に乗り換え。この辺りから池田OBのテンションが上がり始める。池田OBは二本松訓練所の卒業生だ。当時を思い出したのか、遠い目で車窓を流れる山々を見つめるダンディーな同氏。渋いぜ。

同日 午後2:30 昼食
二本松駅に到着。駅前は実にさっぱりしている。人の気配がない。駅前の小さな食堂でらーめんを食した。自他共に認めるラーメン党の友成さんも満足気。よかった。私はうどんを食した。ウマイっちゃ〜ウマイが、ツユが濃いのは東北だからだろうか??

同日 午後3:00 二本松駅→岳温泉
定刻から5分遅れで福島交通のバスが到着。ローカル感の漂ういい感じのバスに揺られ山方面へ向かう。バスは山のふもとの停留所で小学生の一団を乗せた。しばらく走り、停留所どころか何も無いところで止まった。何事かと思ったら、何人かの子供がドヤドヤと下車。彼らにとって下車するのに停留所は関係ないようだった。降りたいところが停留所。マーシャルの相乗りバスと同じだな、と思っていたら隣で「まるでケニアだな!」と池田OBが突っ込んでいた。

同日 午後3:30 岳温泉→二本松訓練所
岳温泉(ダケオンセン)で下車するとJICAのT氏が車で迎えに来てくれていた。友成さんと顔見知りらしく、狭い車内で再会を喜び合っていた。

同日 午後4:00頃 二本松訓練所
遂に二本松訓練所に到着。長かった。けど道中楽しかった。途中から降り出した雪は上から下ではなく地面と並行に降っていた。周りに見える景色はひたすら山である。駒ヶ根訓練所よりさらに秘境だ。ここが今回の決戦場、二本松訓練所。

同日 午後5:00 関係者ミーティング
所長、総括、訓練所のスタッフのみなさんにご挨拶。訓練所の主要スタッフとミーティングが持たれた。

訓練所側からの反応は私にとっては思いのほか厳しいものに感じられた。「訓練日数が短縮されて候補者はキツイ日程の中で訓練を行っている。このような形の講義は極力避けたい」というのがその主張。「派遣後にカメラネットワークを使って遠隔講義すればいいのではないか」、「パワーポイントデータをCDで配布すれば済むのではないか」、「環境隊員だけに補完研修でやればいいのではないか」なんて意見まで出た。歓迎ムードで迎えられるだろうと思っていただけに、私にとってはちょっとショックだった。

しかしよくよく考えてみると決して暴論ではない。駒ヶ根でセミナーを行った際に聴講者から回収したアンケートのことを思い出した。「この程度の内容だったらいまさら敢えて聞く必要はない」という意見が確かにあったのである。思いを人に伝えようとするのはエゴなのだろうか??という思いが初めて私の中に生まれた。しかしそれがエゴだとしても、直接候補者と向き合って、我々の意思を伝えることに意義がある。カメラネットワークではなく、データのやりとりでもなく、直接伝えることに意義があるのだ。そのために我々は来たのである。しかし訓練所側からの主張は候補者を思えばこそのものであり、決して単なる反論ではないことも事実。スタッフは誰よりも近いところで候補者に接して、理解している。彼らの話を聞いて、気合いが入った。訓練所スタッフに我々の活動の意義を力説する友成さんの熱い姿勢に感動した。

同日午後7:00 セミナー
会場は講堂のような広い部屋だった。舞台がある。映画館のように背後の映写室からプロジェクターでスライドが投影される。自分の作ったプレゼンがこんなに大きく映し出されるのはなんだかこっ恥ずかしい。参加者は約30人。聴講者は今回も愛知・岐阜・三重・静岡の出身者および環境関連の職種の候補者が中心である。ただ、今回は前回とちょっと趣が違った。半強制的に聴講者を集めた前回に対して今回は入退場自由という形を採ったのだった。

友成さんのセミナーの概要説明 → 池田OBの温暖化の近況報告 → マーシャルの事例報告 → 池田OBのIPCC報告書に関するプレゼン、という流れ。磯部OBの農業における温暖化レポートが無いことが悔やまれるが今回はこの三人でやるしかない。

三河のアル・ゴア、池田OBはこの日もパワフルだった。独特の間合いで聴くものに迫る。さらに今回は巨大なスクリーンにスライドがデカデカと映されている。しかも舞台の上だ。まさに三河のアル・ゴア、オンステージ。体を張ってグラフを示し、声を張って核心に迫る。すごいです。こんな先生が教えてくれる理科の授業、今からでも是非受けてみたい。

私はというと、何度もシミュレーションをしたはずなのに、頭の中は真っ白け。それでも何とか思いのたけをぶつけたい。始まってしまえば後は野となれ山となれ。私が伝えたかったことは「マーシャルが沈みそうだからみんなでなんとかしよう!」ということではなく、「環境に目を向ける意思を持って欲しい」ということだった。

何も知らなければマーシャルは海のキレイな平和な南の島。そこに環境や温暖化という視点を持つことで様々なことが見えてくる。迫り来る海面を前にして「キレイな海だな」と思うだけでなく、実はそこに「温暖化による海面上昇の影響」があることを知ったら、隊員はきっと何か別のことを感じるだろう。キレイなだけではなく、この島は今まさに沈もうとしている。

こんなことはきっと世界中で起こっている。マーシャルの温暖化の事例を紹介するのはその具体例を示すためである。温暖化の事実そのものを伝える事だけが目的ではない。しかし果たして私の稚拙なプレゼンで伝わっただろうか。

自分のプレゼンは毎回最後がまとまらない。まだまだ反省点だらけである。それでも入退場自由のセミナーだったにもかかわらず、大多数の聴講者のみなさんが最後まで残って耳を傾けてくれたことは嬉しかった。


同日午後10:00
どんなことでも終わってしまえば、終わったことである。くよくよ考えるよりも一杯飲んで温泉浸かって気持ちよく寝るべし。二本松の候補者御用達という居酒屋「恵美寿屋」さんで小さな打ち上げ会をやった。私のマーシャル時代の隊員仲間で現在は二本松でスタッフをされている二人も合流。懐かしい話で盛り上がる。門限を過ぎてから宿に戻って裏口から侵入し、風呂の入浴時間を過ぎてから温泉に浸かった。アウトローの男三人、マジで裸の反省会。あぁ、温泉って最高。日本万歳。二本松に来てよかった。

2月6日 午前7:30 朝食
食堂の席に着くと、友成さんと池田OBは既に何やら盛り上がっていた。友成さんが「空はなぜ青いのか?」という少年のような質問を熱血理科教師の池田OBに投げかけたらしい。朝飯の間中話題は「色」と「光」だった。池田OBは箸を進めることも忘れて熱心に解説してくれていた。こんな先生の授業をうけてみたいな、とまた思った。温泉玉子がうまかった。

同日 午前10時 アディオス・二本松
バスに乗って山を下った。二本松駅には相変わらずあまり人の気配がない。我々三人はここで解散。友成さんは途中で人と会う約束があり、私は二本松でマーシャル時代の恩人と再会する予定。池田OBはそのまま帰路についた。我々三人は活動の継続と再会を誓い、二本松を後にした。長かった往路に対し、復路は実にあっさりでしたとさ。

あとがき
前回の駒ヶ根に続き、今回の二本松でも私の立場はプレゼンをやるだけ、と単純でお気楽なものでした。でも友成・池田両氏にはきっと色々考えるところがおありだろうと思います。そんなお二人を差し置いて私なんかがこうして書かせていただくことは恐縮の極みでしたが、お気楽な視点から見た今回の遠征というのも一つの結果かな、とも思ったので書かせていただきました。私はこれからしばらく関東方面へ出向しますが、愛知県OB会とはなんらかの形で関わりを継続させていただきたいと考えています。末永くよろしくお願いします。

(記事:H17-1 マーシャル 環境教育 下保木 伸吾)